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感情形容詞の用法 現代日本語における使用実態

語学・辞事典

村上 佳恵(著)

A5判  304頁 並製
定価 3,500円+税
ISBN 978-4-305-70846-5 C0081
在庫あり

奥付の初版発行年月 2017年05月
書店発売日 2017年05月18日
登録日 2017年04月19日

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紹介

用いられている法則を明らかにし、日本語教育への成果応用を目指す。
「感情・感覚を表し得る形容詞」について、終止用法、連体修飾用法、副詞的用法について詳細に検討する。従来見落とされていたタイプの分類を補い、新しい指標を設定。先行研究が不十分だった点を埋め、真の感情形容詞像を示す。研究成果を日本語教育に取り入れるための、具体的な方法も披露。現行教科書の問題点を指摘したうえで、学習者向けのルールを提案し、日本語教師向けの文法解説をまとめる。

形容詞という品詞に分類される語には、「大きい」「白い」といった物の性質を表す語もあれば、「うれしい」「悲しい」という人間の感情を表す語もある。前者は、属性形容詞、後者は、感情形容詞と呼ばれている。本書では、「みんなと会えて、うれしいです。」のような感情形容詞が述語として用いられる終止用法、「苦しい顔」のような連体修飾用法、「悲しく聞いた」のような副詞的用法について考察を行い、感情形容詞の全体像を明らかにした。日本語学習者が産出する「日本語としておかしいのはわかるが、なぜおかしいか説明できない日本語の文の山」と格闘した成果。

目次

序章
1. 本書の目的
2. 本書の術語について
3. 本書の構成
4. 用例について
5. BCCWJについて

第1章 感情形容詞研究の軌跡
1. 研究史のキーワード「対象語」と「属性と情意の綜合的な表現」、「人称制限」
1.1. 時枝誠記(1941)(1950)
1.2. 小山敦子(1966)
2. 対象語
2.1. なぜガ格でマークされるのか
2.1.1. 寺村秀夫(1982)
2.1.2. 北原保雄(2010)
2.2. 対象語は主語か目的語か
2.2.1. 橋本進吉(1969)
2.2.2. 鈴木重幸(1972a)(1972b)
2.2.3. 久野暲(1973)
2.2.4. 柴谷方良(1978)
3.「属性と情意の綜合的な表現
3.1. 三田村紀子(1966)
3.2. 寺村秀夫(1982)
3.3. 篠原俊吾(2008)
4. 人称制限
4.1. 寺村秀夫(1971)(1973)
4.2. 金水敏(1989)
4.3. 益岡隆志(1997)
5. 形容詞の分類
5.1. 感情形容詞と属性形容詞を中心とした分類
5.1.1. 三田村紀子(1966)
5.1.2. 西尾寅弥(1972)
5.1.3. 草薙裕(1977)
5.1.4. 寺村秀夫(1982)
5.1.5. 細川英雄(1989)
5.1.6. 小針浩樹(1994)
5.1.7. 仁田義雄(1998)
5.1.8. 北原保雄(2010)
5.2. 状態形容詞と質形容詞
5.2.1. 荒正子(1989)、樋口文彦(1996)
5.2.2. 八亀裕美(2008)
5.3. 「文機能」からの分類 山岡政紀(2000)
5.4. 先行研究の形容詞分類に対する考え
6. まとめ

第2章 現代日本語の形容詞分類―様態のソウダを用いて―
1. 感情形容詞とはどのような形容詞か
2. 感情形容詞の定義
3. 分類の指標にソウダを用いる理由
4. 分類の指標
4.1. 様態のソウダの 2 つの解釈
4.2. 3つの指標
4.3. 指標1・2
4.4. 指標3
5. 分類の対象と分類の際に問題となる語
6. 分類の結果
7. まとめ

第3章 イ形容詞の使用実態―感情形容詞と属性形容詞の比較―
1. 形容詞の使われ方をめぐる先行研究
2. 調査の対象の形容詞
2.1. 調査対象の語彙数
2.2. 4つの形容詞群のデータ
3. 活用形による分類
3.1. 活用形別のデータ
3.2. 感情形容詞の語幹の出現頻度が高い理由
4. 文の成分による分類
4.1. 文の成分として何をたてるか
4.1. 文の成分別データ
4.3. χ 2 検定
4.3.1. 修飾部の有意差について
4.3.2. 動詞句述部の有意差について
4.3.3. 形容詞述部と補部の有意差について
5. 活用形と文の成分の関係
5.1. 終止形
5.2. 連体形
5.3. 連用形
5.4. 未然形
5.5. 意志推量形
5.6. 仮定形
5.7. 命令形
6. まとめ

第4章 感情形容詞が述語となる複文―「動詞のテ形、感情形容詞」―
1. 「*友達に会わなくて、寂しいです」は、なぜおかしいのか
1.1. 「Vテ、感情形容詞」の適格性
1.2. 非意志的な表現とは
2. 「Vテ、感情形容詞」の2分類
3. [対象事態]の自己制御性
3.1. [対象事態]の下位分類
3.2. A前件と後件が同一主体
3.2.1. 前件肯定
3.2.2. 前件否定
3.2.3. 前件肯定の場合の自己制御性について
3.2.4. 前件否定の場合の自己制御性について
3.3. B 前件と後件が異主体
3.4. C 前件の主体が人間以外
3.5. [対象事態]A・B・C の自己制御性
4. [対象認識]の自己制御性
4.1. [対象認識]と[対象事態]の関係
4.2. [対象認識]の自己制御性
5. [対象事態]の受身と受益表現
5.1. 受身と受益表現はいつ使われるのか
5.2. 「Vテ、感情」の受身と受益表現に関する先行研究
5.3. 前件に後件の主体が関与する場合
5.4. 前件に後件の主体が関与しない場合
5.4.1. 好ましいこと
5.4.2. 好ましくないこと
5.5. 受身と受益表現をいつ使うのか
6.「Vテ、感情形容詞」と「~カラ、感情形容詞」「~ノデ、感情形容詞」
6.1. 「~カラ、感情形容詞」と「~ノデ、感情形容詞」はいつ使われるのか
6.2. [条件的理由]
5. まとめ

第5章 連体修飾用法の感情形容詞と被修飾名詞の意味関係―うれしい話、うれしい人、うれしい悲鳴―
1. 連体修飾用法の感情形容詞と被修飾名詞の意味的関係をめぐる問題
1.1. 西尾寅弥(1972)
1.2. 畢暁燕(2010)
1.3. 寺村秀夫(1975)
1.4. 意味的分類と統語的分類のかかわり
2. 考察の対象
3. 感情形容詞と被修飾名詞の意味的関係の7分類
3.1. [対象]......159
3.2. [経験者]
3.3. [とき]
3.4. [内容]
3.5. [表出物]
3.6. [相対補充]
3.7. [その他]
4. 連体修飾用法の感情形容詞は被修飾名詞の属性を表すか
5. 分類に迷う例
5.1. 周辺的な例
5.1.1. [対象]
5.1.2. [経験者].
5.1.3. [とき]
5.1.4. [表出物]
5.2. 感情を表していない形容詞
6. 連体修飾用法の感情形容詞の使用実態
6.1. 結果
6.2. 考察
7. まとめ

第6章 感情形容詞の副詞的用法
1. 悲しく{聞く/枯れる/演じる}は、何が悲しいのか
2. 感情形容詞の副詞的用法をめぐる先行研究
2.1. 副詞全体の中で感情形容詞の副詞的用法について言及した研究
2.2. 感情形容詞の副詞的用法の研究
2.3. 情態修飾成分と結果構文の先行研究
3. 考察の対象
3.1. 感情形容詞
3.2. 副詞的成分とは
4. 感情形容詞の副詞的用法の2分類
5. 動作主認識の副詞的成分
5.1. 動作主認識の副詞的成分と述語動詞の関係
5.1.1. 認識系の動詞
5.1.2. 認識系以外の動詞
5.2. 主体.
5.2.1. 主体が特定の例
5.2.2. 主体が不特定の例
5.3. 形容詞の偏り
6. 話者認識の副詞的成分
6.1. 副詞的成分と述語動詞の関係
6.2. 主体
7. まとめ

第7章 日本語教育への応用に向けて
1. 初級の日本語の教科書で「Vテ、感情形容詞」をどう扱えばよいか
2. 「Vテ、感情形容詞」が適格文となる条件(日本語教育への応用に向けて)
3. 「Vテ、感情動詞」と「Vテ、感情形容詞」の比較
3.1. [対象認識]の前件の制限
3.2. 「Vテ、感情動詞」の[対象認識]の前件の動詞
4. 初級の日本語の教科書の分析
4.1. 可能形の取り扱い
4.1.1. 日本語の可能表現の2分類
4.1.2. 出来事の成立と動作主の意図の関係
4.1.3.初級の日本語の教科書の可能形の取り扱いの有無と取り扱い方
4.2. 「Vテ、感情」の取り扱い
4.2.1. 「Vテ、感情」の取り扱いの有無
4.2.2. 「Vテ、感情」の取り扱い方
4.2.3. 「Vテ、感情」の例文の分析
4.3. 初級の日本語の教科書の問題点
5. 「Vテ、感情形容詞」の産出に向けて
5.1. 学習者に提示するルール
5.2. 日本語教師向け文法解説
6. まとめ

終章 まとめと今後の課題
1. 感情形容詞の分類
2. イ形容詞の使用実態―感情形容詞と属性形容詞の比較―
3. 感情形容詞が述語となる複文
4. 感情形容詞の連体修飾用法
5. 感情形容詞の副詞的用法
6. 日本語教育に向けて
7. 感情形容詞の3つの用法
8. 今後の課題

参考文献
初出一覧
あとがき
索引(事項・人名)

著者プロフィール

村上 佳恵(ムラカミ カエ)
1973年、山形県生まれ。2012年、学習院大学大学院人文科学研究科日本語日本文学専攻博士後期課程単位取得退学。2015年、同大学より博士(日本語日本文学)の学位を取得。現在、学習院女子大学非常勤講師。
論文に「感情動詞の補語に関する一考察―感情動詞の「ニ」と「デ」について―」(2010年『國語國文學會誌』53、学習院大学国語国文学会)など。

上記内容は本書刊行時のものです。

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