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うつほ物語論 物語文学と「書くこと」

武藤 那賀子(著)

A5判  292頁 上製
定価 7,000円+税
ISBN 978-4-305-70837-3 C0093
在庫あり

奥付の初版発行年月 2017年02月
書店発売日 2017年03月13日
登録日 2017年02月14日

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紹介

書くことが物語展開に果たす機能とは

何に書きつけているか、書かれている文の特徴、筆跡、それが一族に継承される様相など、あらゆる角度から「書くこと」について分析。物語を動かしている重要な効果を明らかにする。
日本現存最古の長編物語がもつ、あらたな魅力を解き明かし、従来の音楽物語という括りから解き放つ。

目次

はしがき
『うつほ物語』各巻紹介
登場人物系図

序章 書くことを意識した物語
一 『伊勢物語』
二 『大和物語』
三 『うつほ物語』
四 『源氏物語』
五 『うつほ物語』における物に文字を書くという行為の特異性

第一章 物に書きつく―『うつほ物語』における言語認識
一 物に文字を書く実忠
二 物に文字を書く仲忠
三 実忠と仲忠からの文字を書きつけた贈り物の比較
四 あて宮と仲忠の意思疏通
五 あて宮への求婚からいぬ宮の入内へ
六 『うつほ物語』における言語認識
資料『うつほ物語』における文字が書かれたもの・文字と対になった贈り物一覧

第二章 紙に書きつく―人物関係を構築する文(ふみ)
一 文の遣り取りの有無の判断と人物関係の有無
二 隠蔽される文―物語を動かす可能性の提示
三 見られ代返される文―人物関係が再度成立する分岐点
四 見られる文―人物関係の確認
五 差出人と受取人の特定の重要性―関係の明確化
六 証明としての文―保険としての情報開示と「消息」
七 人物関係を可視化する文

第三章 「手本」の作成と〈手〉の相承
一 『うつほ物語』における「手本」
二 『うつほ物語』における〈手〉
三 俊蔭伝来の蔵から出てきた書物と仲忠の〈手〉
四 仲忠が作成する「手本四巻」
五 すれ違う仲忠と藤壺の思惑

第四章 書の継承―「うつほ」をはじめとした籠りの空間と継承者
一 蔵開
二 女一の宮の懐妊からいぬ宮の産養まで
三 籠る仲忠
四 朱雀帝への進講
五 書の系譜

第五章 清原家の家集進講
一 清原家の書物の進講における春宮
二 朱雀帝によって創られた清原家の書物公開の場
三 菅原道真の献家集と仲忠の家集進講
四 清原家の書物の進講と史実の進講
五 『日本紀』の進講と清原家の家集進講
六 家集進講―清涼殿にできた籠りの空間

第六章 琴を支える書―公開の場の論理
一 二つの書の公開と二つの琴の公開
二 時刻表現の偏り
三 香る様が描かれる香り
四 雪と声が作りだす空間と楼
五 琴を支える書

第七章 「清原」家の継承と『うつほ物語』のおわり
一 〈琴〉と書の系譜
二 〈手〉の系譜
三 三つの系譜と継承されていくものの行く末

補遺―近世・近代の『うつほ物語』の研究

初出一覧
あとがき
索引

前書きなど

【......『うつほ物語』は、先行研究では音楽物語として取り上げられることが多かった。たしかに俊蔭、俊蔭の娘、仲忠、いぬ宮と、物語を通して出てくるのは〈琴(きん)〉の一族である。しかし、『うつほ物語』は音楽物語であるということ以上に、「書くこと」を意識した物語である。そもそも、物語そのものが「書かれた」ものであり、音楽も「書かれた」音楽である。また、本論の最初に扱う、物に文字を書きつけるという行為が数多く出てくるのも本物語の特徴である。
 では、音楽物語としてではなく、「書く」ことを意識した物語として捉えるとき、『うつほ物語』はどのような物語として現前するのか。本書では、『うつほ物語』を、「書かれたもの」から読み解いてゆく。......「はしがき」より】

著者プロフィール

武藤 那賀子(ムトウ ナガコ)
一九八五年九月、東京都に生まれる。二〇〇四年三月、お茶の水女子大学附属高等学校卒業。二〇〇八年三月、成城大学文芸学部国文学科卒業。二〇一〇年三月、学習院大学大学院人文科学研究科日本語日本文学専攻博士前期課程修了。二〇一二年四月、学習院安倍能成記念教育基金奨学生。二〇一四年三月、学習院大学大学院人文科学研究科日本語日本文学専攻博士後期課程修了。博士(日本語日本文学)。現在、学習院大学国際研究教育機構PD共同研究員・学習院大学文学部非常勤講師・学習院大学人文科学研究所客員所員。論文に「学習院大学所蔵『源氏物語』河内本「帚木」巻 解題と翻刻(第一軸・第二軸)」(『人文』第一四号、二〇一六年三月)、「『枕草子』の手紙考」(『人文科学論集』第二一号、二〇一二年一〇月)、「学習院大学蔵『源氏物語』「藤袴」本文考」(共著・代表執筆、『学習院大学大学院日本語日本文学』第一一号、二〇一五年三月)、「学習院大学日本語日本文学科所蔵『源氏物語』「藤袴」巻 翻刻」(共著・代表執筆、『学習院大学国語国文学会誌』第五八号、二〇一五年三月)などがある。

上記内容は本書刊行時のものです。

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