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誘惑する西鶴 浮世草子をどう読むか

平林 香織(著)

A5判  428頁 上製
定価 10,000円+税
ISBN 978-4-305-70799-4 C0095
在庫あり

奥付の初版発行年月 2016年02月
書店発売日 2016年03月03日
登録日 2016年02月01日

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書評情報

2017-01-10 日本文学 森田雅也(関西大学)
2016-11-30 北陸古典研究 浜田泰彦

紹介

いたるところに施された西鶴の仕掛けは、どのように埋め込まれているか。

西鶴を「わかる作品」として読み直すべく、その小説作法を解明し、どう読むべきか、どう読まれるべきかを問う。
そのための本書の挑戦は、一つには、創作方法としての「饒舌な沈黙」の発見、二つには、短編集の仕組みの解明、最後に、ジャンルの越境という点により行う。
短編なのに、一人の長い人生を追ったドキュメンタリーのように人物を描きだす西鶴のリアリティとはどこにあるのか。テキストのことばを読みながら、作品のいたるところにある仕掛けを掘りおこし、新しい読みの扉を次々に開いていく。

【ひたすら西鶴のことばに忠実にテキストを追っていくと、はじめは靄がかかったようなスクリーンが少しずつ鮮明になってくる。さまざまな思いをもつひとりの人間や、複雑な要因によって引き起こされたひとつの出来事が、ドラマチックに立ち現れる。西鶴は、読者をその瞬間に立ち会わせるために、さまざまな仕掛けを作品に施し、繰り返しテキストを読むように誘惑しているのではないだろうか―。】……「はじめに」より

目次

はじめに
 研究史をふりかえる
 本書の試み

第Ⅰ部 作品形成法―表象と仕掛け

第一章 『好色一代男』の方法
1●船に乗る「世之介」は何を意味するか
 一 問題の所在―人生の転換点で船に乗る世之介
 二 女護の島への出帆
 三 難破と遺産相続
 四 世之介が船に乗るとき
 五 世之介の金の使い方
 六 船に乗ることの意味
2●「都のすがた人形」における「鶉の焼鳥」は何を意味するか
 一 「三十五両の鶉」の焼鳥という仕掛け
 二 西鶴が描く鳥料理
 三 「鶉の焼鳥」が意味するもの
 四 『伊勢物語』における鶉の表象
第二章 『好色五人女』の方法
1●「おなつ」をとりまく滑稽
 一 はじめに
 二 『好色五人女』の喜劇性と悲劇性
 三 巻一「姿姫路清十郎物語」の時間
 四 清十郎の過去─第一章「恋は闇夜を昼の国」
 五 おなつの恋─第二章「くけ帯よりあらはるる文」
 六 第三章「太鼓による獅子舞」と第四章「状箱は宿に置て来た男」の手法
 七 第五章「命のうちの七百両のかね」の手法
 八 なぜ悲劇性と喜劇性が共存するのか
2●「お七」の母の小語
 一 はじめに
 二 お七と吉三郎の恋の展開
 三 お七の最期
 四 お七母の小語の意味
第三章 冒頭部の仕掛け
1●『男色大鑑』「墨絵につらき剣菱の紋」を解く
 一 はじめに
 二 「たたみ船」は何を意味するか
 三 「兼ての望」は何を意味するか
 四 翻弄される読者
 五 川を渡る大右衛門
 六 不透明な表現のもつ意味
2●『日本永代蔵』「浪風静に神通丸」の小さなエピソード群
 一 『日本永代蔵』の特徴
 二 巻一における〈小さなエピソードを積み重ねる〉手法と従来の評価
 三 「唐かね屋」について
 四 北浜米市の描写
 五 さし物職人の話への流れ
 六 「筒落米」を拾う親子
 七 そのほかの話の手法
 八 御伽草子の方法と比較して

第Ⅱ部 語り紡ぐ仕組み

第一章 『西鶴諸国はなし』における伝承の活用
1●「夢路の風車」における『邯鄲』『松風』の活用
 一 典拠論から作品論へ
 二 西鶴と謡曲
 三 「夢路の風車」と『邯鄲』
 四 「夢路の風車」と『松風』
2●「身を捨て油壺」と「姥が火」の伝説
 一 人はばけもの
 二 「姥が火」について
 三 「身を捨て油壺」と姥が火伝説
 四 山姥の表象
 五 西鶴の創作意図
第二章 『懐硯』における語り紡ぐ仕組み
1●積層構造―「伴山」の役割―
 一 積層構造について
 二 序における伴山
 三 「二王門の綱」について
 四 「照を取昼舟の中」について
 五 「長持には時ならぬ太鼓」について
 六 「案内しつてむかしの寝所」について
 七 「人の花散疱瘡の山」について
 八 『懐硯』の創作方法
2●旅物語―『東海道名所記』と比較して―
 一 紀行文学と旅物語
 二 『懐硯』と『東海道名所記』の序と冒頭話の比較
 三 冒頭話に続く話の比較
 四 『鎌倉物語』の援用
 五 『懐硯』と『東海道名所記』
第三章 『新可笑記』巻一における反転の仕掛け
1●「理非の命勝負」の理と非
 一 『新可笑記』の評価
 二 『新可笑記』の魅力
 三 「理非の命勝負」の問題点
 四 観相の問題点
 五 日本文学に描かれた「観相」について
 六 沈黙の笑い
2●「木末に驚く猿の執心」の生と死
 一 「入物」というメタファー
 二 史実との関係
 三 「木末に驚く猿の執心」の違和感
 四 反転する〈地〉と〈図〉
 五 〈二人話〉の意味
 六 話の綻びから見えてくるもの

第Ⅲ部 〈はなし〉の広がり

第一章 〈こころ〉と〈からだ〉
1●西鶴浮世草子に描かれる顔
 一 顔論の危険度
 二 引目鉤鼻と隈取について
 三 西鶴好色物における顔表現
 四 役者評判記に描かれた顔
2●顔の変貌―『武家義理物語』「瘊子はむかしの面影」の姉と妹―
 一 同調性について
 二 『松風』における松風と村雨
 三 『伊勢物語』における「女はらから」
 四 「瘊子はむかしの面影」における姉と妹
第二章 西鶴が描く愛の変奏
1●西鶴浮世草子における兄弟姉妹
 一 カインとアベル
 二 『本朝二十不孝』における兄弟姉妹
 三 敵討話における兄弟姉妹
 四 相続話における兄弟姉妹
 五 『万の文反古』における兄弟姉妹
 六 妹の話
 七 兄弟姉妹話の魅力
2●男が女を背負うことは何を意味するか
 一 挿絵から作品を読む
 二 「面影の焼残り」の挿絵
 三 芥川図について
 四 文学における〈背負い〉
 五 西鶴浮世草子挿絵に描かれた〈背負い〉

おわりに

あとがき

人名/書名・作品名/事項索引

著者プロフィール

平林 香織(ヒラバヤシ カオリ)
1959年、宮城県に生まれる。1985年、東北大学大学院文学研究科国文学専攻修士課程修了。1987年、同博士課程科目修了。長野県短期大学教授を経て、岩手医科大学教養教育センター教授。博士(文学)・2014年2月(東北大学)。

上記内容は本書刊行時のものです。

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