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 コレクション日本歌人選 4

大伴家持

小野 寛(著)

四六判  126頁 並製
定価 1,200円+税
ISBN 978-4-305-70642-3 C0092
在庫あり

奥付の初版発行年月 2013年01月
書店発売日 2013年01月21日
登録日 2012年12月03日

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解説

四七三首を『万葉集』に残した歌人。その歌は平安時代の和歌の萌芽ともいうべき繊細さと憂愁が早くも看取される。【付録エッセイ】青木和夫 代表的歌人の秀歌を堪能できる初めてのアンソロジー、全六〇冊。

紹介

日本の代表的歌人の秀歌を堪能するアンソロジー「コレクション歌人選」(3期・全60冊)。『万葉集』の最終編者、大伴家持。

うたの森に、ようこそ。
柿本人麻呂から寺山修司、塚本邦雄まで、日本の代表的歌人の秀歌そのものを、堪能できるように編んだ、初めてのアンソロジー、全六〇冊。「コレクション日本歌人選」の、大伴家持です。

家持の中には憂いやすい繊細な感受性と
痛みやすい心があった
 --小野寛『大伴家持研究』より

八世紀前半の天平の時代に、名門大伴氏の若き首長として、聖武天皇側近の内舎人から越中守、少納言、兵部少輔、因幡守などを歴任しながら、藤原氏をめぐる政争の間を潜りぬけ、多くの女性との相聞歌(そうもんか)、四季の自然や越中の風物とそれに向かう気分を歌った歌、時代の変遷やその心境を詠じた歌など四百七十三首を『万葉集』に残した歌人。それまで代々にわたって個々に編集されてきた様々な歌巻を、最終的に現在の形にまとめ上げたのは当代一の歌人家持だっただろうと考えられる。万葉最後期を代表する家持の歌は、平安時代の和歌の萌芽ともいうべき繊細さと憂愁にみちた風が早くも看取される。

目次

01 振り仰けて若月見れば一目見し人の眉引思ほゆるかも
02 春の野にあさる雉の妻恋ひに己があたりを人に知れつつ
03 夏山の木末の繁にほととぎす鳴き響むなる声の遥けさ
04 あしひきの木の間立ちくくほととぎすかく聞き初めてのち恋ひむかも
05 人も無き国もあらぬか吾妹子と携ひ行きて副ひて居らむ
06 夢の逢ひは苦しかりけり覚きて掻き探れども手にも触れねば
07 夕さらば屋戸開け設けてわれ待たむ夢に相見に来むと言ふ人を
08 秋の野に咲ける秋萩秋風になびける上に秋の露置けり
09 今日降りし雪に競ひてわがやどの冬木の梅は花咲きにけり
10 たまきはる寿は知らず松が枝を結ぶ心は長くとそ思ふ
11 かけまくもあやに畏し  言はまくもゆゆしきかも
  わが大君皇子の命
  万代に見したまはまし
  大日本久邇の京は
  うち靡く春さりぬれば
  山辺には花咲きををり
  川瀬には鮎子さ走り
  いや日異に栄ゆる時に
  逆言の狂言とかも
  白たへに舎人装ひて
  和束山御輿立たして
  ひさかたの天知らしぬれ
  臥いまろびひづち泣けども
  せむすべもなし
12 石麻呂にわれ物申す夏痩せに良しといふものそむなぎ捕り食せ
13 痩す痩すも生けらばあらむをはたやはたむなぎを捕ると川に流るな
14 大宮の内にも外にも光るまで降れる白雪見れど飽かぬかも
15 秋の田の穂向き見がてりわが背子がふさ手折りける女郎花かも
16 馬並めていざうち行かな渋谿の清き磯廻に寄する波見に
17 射水川い行き廻れる
  玉くしげ二上山は
  春花の咲ける盛りに
  秋の葉のにほえる時に
  出で立ちて振り放け見れば
  神からやそこば貴き
  山からや見が欲しからむ
  皇神の裾廻の山の
  渋谿の崎の荒磯に
  朝なぎに寄する白波
  夕なぎに満ち来る潮の
  いや増しに絶ゆることなく
  古ゆ今の現に
  かくしこそ見る人ごとに
  懸けてしのはめ
18 玉くしげ二上山に鳴く鳥の声の恋しき時は来にけり
19 立山に降り置ける雪を常夏に見れども飽かず神からならし
20 東風(越の俗の語に、東風をあゆのかぜといふ)いたく吹くらし奈呉の海人の釣する小舟漕ぎ隠る見ゆ
21 雄神川紅にほふをとめらし葦付(水松の類)取ると瀬に立たすらし
22 立山の雪し来らしも延槻の川の渡り瀬あぶみ漬かすも
23 珠洲の海に朝開きして漕ぎ来れば長浜の浦に月照りにけり
24 天皇の御代栄えむと東なる陸奥山に金花咲く
25 すめろきの敷きます国の
  天の下四方の道には
  馬の爪い尽くす極み
  船の舳のい泊つるまでに
  古よ今の現に
  万調奉るつかさと
  作りたるその生業を
  雨降らず日の重なれば
  植ゑし田も蒔きし畑も
  朝ごとにしぼみ枯れ行く
  そを見れば心を痛み
  みどり子の乳乞ふがごとく
  天つ水仰ぎてそ待つ
  あしひきの山のたをりに
  この見ゆる天の白雲
  海神の沖つ宮辺に
  立ち渡りとの曇り合ひて
  雨も賜はね
26 雪の上に照れる月夜に梅の花折りて贈らむ愛しき児もがも
27 あしひきの山の木末のほよ取りてかざしつらくは千歳寿くとそ
28 春の苑紅にほふ桃の花下照る道に出で立つをとめ
29 わが園の李の花か庭に降るはだれのいまだ残りたるかも
30 春まけてもの悲しきにさ夜ふけて羽振き鳴く鴫誰が田にか住む
31 もののふの八十やそをとめらが汲みまがふ寺井の上のかたかごの花
32 あしひきの八峰の雉鳴き響む朝明の霞見ればかなしも
33 朝床に聞けば遥けし射水川朝漕ぎしつつ唱ふ船人
34 磯の上のつままを見れば根を延へて年深からし神さびにけり
35 ほととぎす来鳴く五月に
  咲きにほふ花橘の
  香ぐはしき親の御言
  朝夕に聞かぬ日まねく
  天離る鄙にし居れば
  あしひきの山のたをりに
  立つ雲をよそのみ見つつ
  嘆くそら安けなくに
  思ふそら苦しきものを
  奈呉の海人の潜き取るといふ
  白玉の見が欲し御面
  直向かひ見む時までは
  松柏の栄えいまさね
  貴き我が君
36 桃の花紅色に
  にほひたる面輪のうちに
  青柳の細き眉根を
  笑みまがり朝影見つつ
  をとめらが手に取り持てる
  まそ鏡二上山に
  木の暗の繁き谷辺を
  呼びとよめ朝飛びわたり
  夕月夜かそけき野辺に
  はろはろに鳴くほととぎす
  立ちくくと羽触れに散らす
  藤波の花なつかしみ
  引き攀ぢて袖に扱入れつ
  染まば染むとも
37 藤波の影なす海の底清み沈著く石をも玉とそ我が見る
38 しなざかる越に五年住み住みて立ち別れまく惜しき宵かも
39 春の野に霞たなびきうら悲しこの夕かげにうぐひす鳴くも
40 わがやどのいささ群竹吹く風の音のかそけきこの夕かも
41 うらうらに照れる春日にひばり上がり心悲しもひとりし思へば
42 ひさかたの天の門開き
  高千穂の嶽に天降りし
  皇祖の神の御代より
  はじ弓を手握り持たし
  真鹿児矢を手挟み添へて
  大久米のますら健男を
  先に立て靫取り負ほせ
  山川を岩根さくみて
  踏み通り国覓ぎしつつ
  ちはやぶる神を言向け
  まつろはぬ人をも和し
  掃き清め仕へまつりて
  あきづ島大和の国の
  橿原の畝傍の宮に
  宮柱太知り立てて
  天の下知らしめしける
  天皇の天の日継と
  継ぎて来る君の御代御代
  隠さはぬ赤き心を
  皇辺に極め尽くして
  仕へ来る祖の官と
  言立てて授けたまへる
  子孫のいや継ぎ継ぎに
  見る人の語り次てて
  聞く人の鏡にせむを
  あたらしき清きその名そ
  おぼろかに心思ひて
  空言も祖の名絶つな
  大伴の氏と名に負へる
  ますらをの伴
43 初春の初子の今日の玉箒手に取るからにゆらく玉の緒
44 新しき年の始めの初春の今日降る雪のいや重け吉事
歌人略伝
略年譜
解説「大伴家持の絶唱と残映」(小野寛)
読書案内
【付録エッセイ】大伴家持--その悲壮なるもの(青木和夫)

著者プロフィール

小野 寛(オノ ヒロシ)
1934年京都市生。東京大学大学院修了。現在 駒澤大学名誉教授。高岡市万葉歴史館特別顧問。主要著書『新選万葉集抄』『大伴家持研究』(以上、笠間書院)『弧愁の人 大伴家持』(新典社)『上代文学研究事典』(おうふう)『万葉集歌人摘草』(若草書房)『万葉集全注巻第十二』(有斐閣)『大伴家持大事典』(笠間書院)

上記内容は本書刊行時のものです。

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