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【シリーズ】日本文学の展望を拓く 2 絵画・イメージの回廊

小峯 和明(監修) / 出口 久徳(編著)

A5判  370頁 上製
定価 9,000円+税
ISBN 978-4-305-70882-3 C0095
在庫あり

奥付の初版発行年月 2017年11月
書店発売日 2017年11月10日
登録日 2017年10月25日

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紹介

多様な研究分野が競い合うフィールドで、
各分野の解析法がどう重なり、ずれるのか、
読みと研究のあり方が問われている。

日本文学とその研究がこれまでに担ってきた領域、これから創造していく可能性をもつ領域とは何か。
人文学としての文学が人間社会に果たしうる役割に関して、
より豊かな議論を成り立たせるには、これからどうしていけばよいのか。
日本文学の窓の向こうに広がるものの総体を捉えようとするシリーズ、「日本文学の展望を拓く」第2巻。

【執筆者】鈴木 彰/出口久徳/小峯和明/キャロライン・ヒラサワ/塩川和広/吉橋さやか/西山美香/山本聡美/阿部龍一/吉原浩人/髙岸 輝/ヴェロニック・ベランジェ/山口眞琴/金 英珠/ケラー・キンブロー/伊藤信博/宇野瑞木/軍司直子/安原眞琴/琴 榮辰/グェン・ティ・ラン・アィン/楊 暁捷/川鶴進一

目次

緒言──本シリーズの趣意──(鈴木 彰)
総論──絵画・イメージの〈読み〉から拓かれる世界──(出口久徳)
1 絵画・イメージ研究の現在/2 物語をつむぎだす絵画(第1部) /3 社会をうつしだす絵画(第2部)/4 〈武〉の神話と物語(第3部)/5 絵画メディアの展開(第4部)/6 絵画・イメージ研究の今後に向けて

第1部 物語をつむぎだす絵画

1 絵巻・〈絵画物語〉論(小峯和明)
*絵巻、絵画物語、画中詞、図巻、中国絵巻
1 研究の動向と経緯/2 絵巻と図巻/3 絵をいかに読むか、イメージの翻訳へ/4 絵画と言葉/5 画中詞の世界/6 絵画を読むこと/7 東アジアへの視界・中国絵巻の世界──メトロポリタン美術館にて
2 光の救済──「光明真言功徳絵詞(絵巻)」の成立とその表現をめぐって──(キャロライン・ヒラサワ)
*光明真言、浄土思想、極楽往生、霊験譚、蘇生譚
1 はじめに/2 「光明真言絵巻」の成立と伝来/3 光明真言の文献/4 光明真言の絵画的表現/5 おわりに
3 百鬼夜行と食物への供養──「百鬼夜行絵巻」の魚介をめぐって──(塩川和広)
*百鬼夜行、魚介類、食、狂言、お伽草子
1 はじめに/2 魚介の妖怪の位置づけ/3 狂言「蚪蛤」の幽霊と食材への供養/4 怪異としての蛤のイメージ/5 おわりに
4 『福富草紙』の脱糞譚──『今昔物語集』巻二八に見るイメージの回廊──(吉橋さやか)
*福富草紙、今昔物語集、ヲコ、脱糞譚、お伽草子
1 はじめに──『福富草紙』の概要と問題の所在/2 推参し、打擲されるヲコ者の源流──『今昔物語集』の曾禰好忠/3 脱糞をめぐって/4 ヲコ者の姿/5 おわりに
【コラム】挿絵から捉える『徒然草』──第三二段、名月を「跡まで見る人」の描写を手がかりにして──(西山美香)
*徒然草、版本、挿絵、読者、徒然草絵巻

第2部 社会をうつしだす絵画

1 「病草紙」における説話の領分──男巫としての二形──(山本聡美)
*病草紙、正法念処経、男巫(おとこみこ/おかんなぎ)、二形(ふたなり)、梁塵秘抄
1 はじめに/2 「病草紙」の典拠/3 「二形」の詞と絵/4 二形をめぐる医学と経説/5 『御堂関白記』に登場する男巫/6 異化される男巫/7 おわりに
2 空海と「善女龍王」をめぐる伝承とその周辺(阿部龍一)
*善女(如)龍王、神泉苑、龍女、神泉苑、弘法大師信仰、真言
1 はじめに/2 龍王女としての善女/3 善女龍王女と空海撰「般若心経秘鍵」/4 「明」あるいは「明妃」と善女龍王女/5 結びにかえて──真言の力としての龍
3 文殊菩薩の化現──聖徳太子伝片岡山飢人譚変容の背景──(吉原浩人)
*文殊菩薩、化現、聖徳太子伝、片岡山飢人譚、達磨
1 はじめに/2 文殊菩薩の経典と『法華経』序品/3 文殊菩薩の化現としての行基/4 文殊会の創祀/5 円仁の五台山巡礼と文殊菩薩/6 大般若会に化来した文殊菩薩/7 文殊菩薩の化現としての片岡山飢人/8 なぜ飢人が文殊菩薩の化現とされたのか/9 結語
4 『看聞日記』にみる唐絵の鑑定と評価(髙岸 輝)
*看聞日記、唐絵、貞成親王、足利義教、鑑定
1 はじめに/2 玉阿と頓書記──和製の唐絵/3 永享六年の唐人入洛と唐物ブーム/4 永享九年の唐絵をめぐる騒動/5 永享十年の唐絵鑑定/6 おわりに
【コラム】フランス国立図書館写本部における日本の絵巻・絵入り写本の収集にまつわる小話(ヴェロニック・ベランジェ)
*奈良絵本、絵巻、フランス国立図書館、パリ万国博覧会、収集家
1 序/2 十九世紀の写本部のコレクション/3 収集家の時代/4 オーギュスト・ルスエフ・コレクションと一九一三年のフランス国立図書館への遺贈/5 二十世紀におけるコレクションの拡充

第3部 〈武〉の神話と物語

1 島津家「朝鮮虎狩図」屏風・絵巻の図像に関する覚書(山口眞琴)
*島津家、朝鮮虎狩図屏風、曾我物語図屏風、富士巻狩図、関ヶ原合戦図屏風
1 はじめに/2 『都城屏風』の全体的構成/3 三虎籠り説のゆくえ/4 「原作屏風」からの変容/5 『曾我物語図屏風』などとの関連/6 おわりに
【コラム】武家政権の神話『武家繁昌』(金 英珠)
*海幸山幸、武家繁昌、武家政権、神話、中世日本紀
2 根津美術館蔵「平家物語画帖」の享受者像──物語絵との〈対話〉を窺いつつ──(鈴木 彰)
*根津美術館蔵「平家物語画帖」、『平家物語』、『源平盛衰記』、享受者像、物語絵との〈対話〉
1 はじめに/2 白梅の枝と梶原景季──本文の外側への理解/3 『源平盛衰記』との交雑/4 物語絵との〈対話〉──享受者に求められたもの/5 おわりに
【コラム】猫の酒呑童子と『鼠乃大江山絵巻』(ケラー・キンブロー)
*英一蝶、パロディー、お伽草子、『酒呑童子』、『鼠の草子』
3 絵入り写本から屏風絵へ──小峯和明蔵『平家物語貼交屏風』をめぐって──(出口久徳)
*平家物語、メディア(媒体)、屛風絵、絵入り写本(奈良絵本)、絵入り版本
1 はじめに/2 本文をめぐって/3 絵をめぐって──場面の特定を中心に/4 屏風が作り出す物語世界

第4部 絵画メディアの展開

1 掲鉢図と水陸斎図について(伊藤信博)
*鬼子母神、仏陀、擬人化、宝誌、草木国土悉皆成仏
1 はじめに/2 ギメ美術館蔵「掲鉢図」に描かれる異形の者たち/3 個人蔵の「掲鉢図」と水陸斎について/4 水陸斎と水陸斎図について/5 おわりに
2 近世初期までの社寺建築空間における二十四孝図の展開──土佐神社本殿蟇股の彫刻を中心に──(宇野瑞木)
*二十四孝図、建築、五山文学、彫物(装飾彫刻)、長宗我部氏
1 社寺装飾彫刻における豊かな説話世界──文学から建築学への架橋/2 寛永年間までの社寺装飾彫刻としての二十四孝図の展開──蟇股を中心に/3 土佐神社本殿の蟇股の二十四孝図/4 最後に
3 赤間神宮の平家一門肖像について──像主・配置とその儀礼的意義──(軍司直子)
*赤間神宮、阿弥陀寺、安徳天皇、平家、肖像
1 はじめに/2 阿弥陀寺期の平家肖像/3 肖像の像主/4 肖像の配置/5 肖像の機能/6 おわりに
【コラム】詩は絵のごとく──プラハ国立美術館所蔵「扇の草子」の翻訳本刊行の意義──(安原眞琴)
*扇、奈良絵本、歌仙絵、遊び(またはなぞなぞ)、和歌
【コラム】鬼の「角」と人魚の「尾鰭」のイメージ(琴 榮辰)
*鬼、角、人魚、尾鰭、形
1 鬼の「角」/2 人魚の「尾鰭」
【コラム】肥前陶磁器に描かれた文学をモチーフとした絵柄(グェン・ティ・ラン・アィン)
*肥前磁器、陶磁器、文様、モチーフ、絵柄
1 肥前陶磁器について/2 肥前陶磁器に描かれた文学をモチーフとした文様
4 デジタル絵解きを探る──画像、音声、動画からのアプローチ──(楊暁捷)
*デジタル公開、学術利用、生活百景、朗読動画、まんが訳
1 デジタル画像公開──その出現と進化/2 「古典画像にみる生活百景」──ビジュアルを解く/3 「動画・あきみち」──目から耳へ/4 「劇画・絵師草紙」──まんが訳/5 研究者ネットワーク──制作と利用/6 研究成果の一環にするために──終わりに代えて
【コラム】『北野天神縁起』の教科書単元教材化について(川鶴進一)
*北野天神縁起、教科書、菅原道真(天神)、絵巻(絵画資料)、怨霊・御霊
1 古典教科書における『大鏡』道真関連話/2 『北野天神縁起』教科書単元教材化の先駆/3 『北野天神縁起』教科書単元教材化に求められるもの

あとがき(小峯和明)

全巻構成(付キーワード)
執筆者プロフィール
索引(人名/作品名・資料名)

前書きなど

本格的な絵巻論を指向する過程で浮かび上がってきたのが、絵画と物語の相互作用の課題である。絵巻や絵入り本を読むためには、詞書など物語本文(テクスト)だけではなく、絵画(イメージ)も同時に読まなくてはならない。かつては、詞書は文学、絵画は美術、という分野ごとの役割が仕切られていた。げんに今でもそのように割り切っている専門家は少なくないようにも見受けられる。しかし、同一の絵巻や絵入り本そのものが詞書と絵画を一体化して制作されている以上、双方を等価値に扱い、読み込むことなくして、その絵巻の全体を読んだことにはならない。文学、美術、歴史などの専門分野の如何を問わず、物語本文と絵画を同等に扱い、相互に連関づけて読み込む方策を会得する必要に迫られているのである。むしろ美術や歴史、文学、民俗、宗教等々、それぞれの分野からの読みとりを提示しあい、検証しあう協働のまなざしが肝要である。…「絵巻・〈絵画物語〉論」(小峯和明)より

著者プロフィール

小峯 和明(コミネ カズアキ)
1947年生まれ。立教大学名誉教授、中国人民大学高端外国専家、早稲田大学客員上級研究員、放送大学客員教授。早稲田大学大学院修了。日本中世文学、東アジア比較説話専攻。物語、説話、絵巻、琉球文学、法会文学など。著作に『説話の森』(岩波現代文庫)、『説話の声』(新曜社)、『説話の言説』(森話社)、『今昔物語集の世界』(岩波ジュニア新書)、『野馬台詩の謎』(岩波書店)、『中世日本の予言書』(岩波新書)、『今昔物語集の形成と構造』『院政期文学論』『中世法会文芸論』(笠間書院)、『東洋文庫809 新羅殊異伝』(共編訳)、『東洋文庫875 海東高僧伝』(共編訳)など、編著に、『東アジアの仏伝文学』(勉誠出版)、『東アジアの女性と仏教と文学 アジア遊学207』(勉誠出版)、『日本文学史』(吉川弘文館)、『日本文学史―古代・中世編』(ミネルヴァ書房)、『東アジアの今昔物語集―翻訳・変成・予言』(勉誠出版)ほか多数。
出口 久徳(デグチ ヒサノリ)
立教新座中学校・高等学校教諭。日本中世文学。『図説 平家物語』(共著、河出書房新社、2004年)、『平家物語を知る事典』(共著、東京堂出版、2005年)、「寛文・延宝期、軍記物語版本の挿絵の表現をめぐって─延宝五年版『平家物語』における頼朝「対面」場面を読む─」(日下力監修・鈴木彰・三澤裕子編『いくさと物語の中世』汲古書院、2015年)。

上記内容は本書刊行時のものです。

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