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【シリーズ】日本文学の展望を拓く 1 東アジアの文学圏

小峯 和明(監修) / 金 英順(編著)

A5判  496頁 上製
定価 9,000円+税
ISBN 978-4-305-70881-6 C0095
在庫あり

奥付の初版発行年月 2017年11月
書店発売日 2017年11月10日
登録日 2017年10月25日

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紹介

各国の文学・文化を相互に対照し、
輻輳する読みをかさねあわせ、
東アジア古典学の未来を創る

日本文学とその研究がこれまでに担ってきた領域、これから創造していく可能性をもつ領域とは何か。
人文学としての文学が人間社会に果たしうる役割に関して、
より豊かな議論を成り立たせるには、これからどうしていけばよいのか。
日本文学の窓の向こうに広がるものの総体を捉えようとするシリーズ、「日本文学の展望を拓く」第1巻。

【執筆者】鈴木 彰/金 英順/小峯和明/丁 莉/金 鍾徳/何 衛紅/張 龍妹/於 国瑛/趙 力偉/井上 亘/馬 駿/龍野沙代/蒋 雲斗/染谷智幸/河野貴美子/金 文京/千本英史/松本真輔/佐野愛子/金 賢旭/高 兵兵/木村淳也/島村幸一/ファム・レ・フイ/チャン・クァン・ドック/樋口大祐/冉 毅/エリン・L・ブライトウェル

目次

緒言──本シリーズの趣意──(鈴木 彰)
総論──交流と表像の文学世界──(金 英順)
1 はじめに/2 東アジアの交流と文化圏(第1部)/3 東アジアの文芸の表現空間(第2部)/4 東アジアの信仰圏(第3部)/5 東アジアの歴史叙述の深層(第4部)/6 おわりに

第1部 東アジアの交流と文化圏

1 東アジア・〈漢字漢文文化圏〉論(小峯和明)
*東アジア、漢字漢文文化圏、古典学、類聚、瀟湘八景
1 東アジアの文学圏──トランス・アジアへ/2 東アジアの古典学/3 類聚文化/4 個別例としての瀟湘八景から/5 琉球の場合/6 朝鮮半島の場合/7 ベトナムの場合/8 日本のパロディと八景批判/9 今後の展望
2 『竹取物語』に読む古代アジアの文化圏(丁 莉)
*『竹取物語』、古代アジア、遣唐使、入竺僧、シルクロード
1 はじめに/2 二つの渡海譚/3 二つの渡航譚/4 「火鼠の皮衣」と陸のシルクロード/5 「蓬莱の玉の枝」と海のシルクロード/6 おわりに
3 紫式部の想像力と源氏物語の時空(金 鍾徳)
*紫式部、記憶、時空間、高麗人、作意
1 はじめに/2 「そのころ」の高麗人/3 紫式部の記憶と想像力/4 おわりに
【コラム】漢字・漢文・仏教文化圏の『万葉集』──「方便海」を例に──(何 衛紅) 
*仏教文化圏、漢文文化圏、日本上代文学、万葉集、方便海
1 はじめに/2 「方便海」と「わたつみ」/3 『華厳経』における「方便海」/4 「方便海の神が手渡る」/5 おわりに
【コラム】軍記物語における「文事」(張 龍妹)
*軍記物語、文芸、和歌、漢詩文、文以載道
1 『平家物語』の風雅/2 『太平記』におけるアイロニー効果/3 『朝鮮征伐記』における国書による武威宣揚
4 佐藤春夫の『車塵集』の翻訳方法──中日古典文学の基底にあるもの──(於 国瑛)
*佐藤春夫、車塵集、翻訳方法、古典文学、和漢的な表現
1 はじめに/2 佐藤春夫の中国詩を翻訳するきっかけ/3 『車塵集』──和様化されたアンソロジー/4 『車塵集』の翻訳方法──王朝的文学が底流にあるもの/5 翻訳の特徴/6 終わりに
【コラム】「山陰」と「やまかげ」(趙 力偉)
*子猷尋戴、蒙求、唐物語、山陰、本説取り

第2部 東アジアの文芸の表現空間

1 「離騒」と卜筮──楚簡から楚辞をよむ──(井上 亘)
*占い(と文学)、通仮字、楚文化、簡帛学、校読
1 楚辞と楚簡/2 「筳篿」考──楚文化東流/3 「霊氛」考──楚簡から楚辞へ/4 「巫咸」考──卜筮の軽重/5 結び──「離騒」の再構成
2 『日本書紀』所引書の文体研究──「百済三書」を中心に──(馬 駿)
*百済三書、文体的特徴、正格表現、仏格表現、変格表現
1 初めに/2 『百済記』とその三格表現/3 『百済新撰』とその文章表現/4 『百済本紀』とその三格表現/5 終わりに
3 金剛山普徳窟縁起の伝承とその変容/【資料】保郁「普徳窟事蹟拾遺録」(一八五四年)(龍野沙代)
*朝鮮文学、仏教説話、金剛山、観音信仰、普徳窟
1 はじめに/2 普徳和尚と観音窟/3 懐正と観音菩薩の物語/4 二人の「普徳」と縁起再編/5 おわりに
4 自好子『剪灯叢話』について(蒋 雲斗)
*剪灯叢話、自好子、十二巻本、十巻本、浅井了意
1 はじめに/2 剪灯新話系作品について/3 『剪灯叢話』について/4 十二巻本『剪灯叢話』と十巻本『剪灯叢話』/5 日本における自好子『剪灯叢話』の伝来/6 自好子『剪灯叢話』と浅井了意/7 むすび
5 三層の曼荼羅図──朝鮮古典小説『九雲夢』の構造と六観大師──(染谷智幸)
*九雲夢、金萬重、曼荼羅、法華経、六道輪廻
1 アジアと仏教の視点/2 『九雲夢』の世界/3 『九雲夢』評価の乖離/4 三層の曼荼羅/5 六観大師とは何者か
6 日中近代の図書分類からみる「文学」、「小説」(河野貴美子)
*図書分類、目録、図書館、文学、小説
1 はじめに──問題の所在/2 近代日本の図書分類における「文学」、「小説」/3 二〇世紀初頭における中国の図書館学事情と日本/4 『遊仙窟』と鄭振鐸の「文学」「小説」研究/5 おわりに──燕京大学及び北京大学図書館の分類法
【コラム】韓流ドラマ「奇皇后」の原点(金 文京)
*東アジア比較文学、「釈迦仏十地修行記」、奇皇后
1 東アジア史の回顧と朝鮮半島/2  元と高麗関係の特殊性/3 高麗の元に対する貢女要求と奇皇后/4 『釈迦如来十地修行記』と奇皇后/5 おわりに

第3部 東アジアの信仰圏

1 東アジアにみる『百喩経』の受容と変容(金 英順)
*仏教、比喩、説話、唱導、仏伝
1 はじめに/2 『百喩経』の譬喩と教訓/3 中国にみる『百喩経』の譬喩と引用/4 日本の説話文学における『百喩経』の享受/5 韓国の仏伝文学と『百喩経』の譬喩/6 おわりに
2 『弘賛法華伝』をめぐって(千本英史)
*『今昔物語集』、『弘賛法華伝』、高麗、覚樹、俊源
1 はじめに/2 『今昔物語集』と『弘賛法華伝』の「距離」/3 覚樹という存在/4 『弘賛法華伝』奥書「再読」
3 朝鮮半島の仏教信仰における唐と天竺──新羅僧慈蔵の伝を中心に──(松本真輔)
*天竺、新羅、慈蔵、通度寺、三国遺事
1 はじめに/2 三国の仏教と唐・天竺/3 中国での慈蔵伝/4 朝鮮半島での慈蔵と天竺/5 通度寺、慈蔵、そして天竺/6 まとめ
4 『禅苑集英』における禅学将来者の叙述法(佐野愛子)
*東アジア、仏教、漢文説話、ベトナム
1 はじめに/2 『禅苑集英』について/3 『禅苑集英』における禅学の将来者/4 仏教の流布と弾圧/5 『禅苑集英』における禅学将来者の特徴/6 おわりに
5 延命寺蔵仏伝涅槃図の生成と地域社会──渡来仏画の受容と再生に触れつつ──(鈴木 彰)
*仏伝涅槃図、延命寺本、東龍寺本、中之坊寺本、渡来仏画の受容
1 はじめに/2 延命寺蔵仏伝涅槃図について/3 東龍寺蔵仏伝涅槃図について/4 東龍寺蔵仏伝涅槃図との関係/5 中之坊寺蔵涅槃図との関係/6 地域社会のなかの涅槃図・仏伝図/7 おわりに
【コラム】能「賀茂」と金春禅竹の秦氏意識(金 賢旭)
*賀茂縁起、丹塗矢伝説、秦氏、金春禅竹、『秦氏本系帳』

第4部 東アジアの歴史叙述の深層

1 日本古代文学における「長安」像の変遷──〈実〉から〈虚〉へと──(高 兵兵)
*長安、奈良、平安京、漢詩文、遣唐使
1 はじめに/2 奈良と平安前期/3 平安中期から平安後期/4 おわりに
2 『古事集』試論──本文の特徴と成立背景を考える──(木村淳也)
*古事集、琉球、地誌、鎌倉芳太郎、修史事業
1 はじめに/2 鎌倉資料所収『古事集』に関して/3 『古事集』の特徴/4 『古事集』の成立年代と王府の修史事業/5 『古事集』の離島表記と項目の来由/6 おわりに──『古事集』の作成者と成立背景
3 『球陽』の叙述──「順治康煕王命書文」(『古事集』)から──(島村幸一)
*古事集、球陽、順治康煕王命書文、中山世譜、鄭秉哲
1 はじめに/2 「順治康煕王命書文」と『球陽』 /3 『球陽』と「王命書文」とが対応する叙述/4 『球陽』が採らない「王命書文」記事/5 まとめ
4 古説話と歴史との交差──ベトナムで龍と戦い、中国に越境した李朝の「神鐘」──(ファム・レ・フイ)/【資料】思琅州崇慶寺鐘銘并序(ファム・レ・フイ/チャン・クァン・ドック)
*ベトナム、古説話、崇慶寺、円明寺、鐘銘
1 はじめに/2 勅撰地誌に記された辺境地帯の説話/3 私選地誌に記された説話/4 説話が展開された空間──「崇慶寺」説と「円明寺」説/5 中国の地方誌に記された「飛来鐘」の説話と実物/6 「飛来鐘」の正体/7 「鋳鐘主」楊景通と「書」者の「曹良輔」/8 越境した梵鐘、越境した説話/9 おわりに
5 日清戦争と居留清国人表象(樋口大祐)
*日清戦争、大和魂、居留清国人、レイシズム、中勘助
1 はじめに/2 日清戦争をめぐる建前と本音/3 在留清国人の処遇/4 『会津産明治組重』の在留清国人表象/
【コラム】瀟湘八景のルーツと八景文化の意義(冉 毅)
*瀟湘景、淡山巖、宋迪題字、環境と文学、風景の文化意義
1 はじめに/2 瀟湘八景のルーツ/3 「瀟湘八景」四文字の出典及び地名明記の「瀟湘大八景詞」/4 「瀟湘八景」の美育的な意義/
6 Constructing the China Behind Classical Chinese in Medieval Japan: The China Mirror(Erin L. Brightwell)
*Medieval Japan (中世日本)、cultural literacy (文化的な教養)、 China images (中国のイメージ)、warriors (武士)、 Mirrors (「鏡物」)
Audiences Real and Imagined/The Teachings/Writer/Reader Mismatch/Other Lessons Learnt

あとがき(小峯和明)

全巻構成(付キーワード)
執筆者プロフィール
索引(人名/作品名・資料名)

前書きなど

かつての日本の「国文学」は、日本内部の内向きだけでやってきた。いうなれば学問の鎖国に近い状態であった。「国学」「国文学」に対する「漢学」「漢文学」として対置され、それが学校教育の古文・漢文の対置にもつらなり、併存してきた。和漢比較研究は双方に架橋する意義を持っていたが、学会レベルではほとんど日中比較の一対一対応の、日本が中国をどう受け入れたかの受容論ばかりに終始してきた。とりわけ問題なのが間の朝鮮半島を無視ないし排除してきたことで、その欠落を埋めるべく徐々に研究が動きつつある。琉球文学も同様で、日本文学にどう組み込むかの一対一対応での対処ではなく、東アジアという広い視座からの位置づけが必要であり、これにベトナムをも視野に入れて多面的、多角的に複眼的な視座から見ていかなくてはならないだろう。…「東アジア・〈漢字漢文文化圏〉論」(小峯和明)より

著者プロフィール

小峯 和明(コミネ カズアキ)
1947年生まれ。立教大学名誉教授、中国人民大学高端外国専家、早稲田大学客員上級研究員、放送大学客員教授。早稲田大学大学院修了。日本中世文学、東アジア比較説話専攻。物語、説話、絵巻、琉球文学、法会文学など。著作に『説話の森』(岩波現代文庫)、『説話の声』(新曜社)、『説話の言説』(森話社)、『今昔物語集の世界』(岩波ジュニア新書)、『野馬台詩の謎』(岩波書店)、『中世日本の予言書』(岩波新書)、『今昔物語集の形成と構造』『院政期文学論』『中世法会文芸論』(笠間書院)、『東洋文庫809 新羅殊異伝』(共編訳)、『東洋文庫875 海東高僧伝』(共編訳)など、編著に、『東アジアの仏伝文学』(勉誠出版)、『東アジアの女性と仏教と文学 アジア遊学207』(勉誠出版)、『日本文学史』(吉川弘文館)、『日本文学史―古代・中世編』(ミネルヴァ書房)、『東アジアの今昔物語集―翻訳・変成・予言』(勉誠出版)ほか多数。
金 英順(キム エイジュン)
立教大学兼任講師。日本中世文学、東アジアの孝子説話。『海東高僧伝』(編著、平凡社、2016年)、「東アジア孝子説話にみる生贄譚」(『説話文学研究』45号、2010年7月)、「東アジアの孝子説話にみる自己犠牲の〈孝〉」(『仏教文学』32号、2008年3月)、「東アジアの入唐説話にみる対中国意識」(『アジア遊学』197、 勉誠出版、2016年)。

上記内容は本書刊行時のものです。

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