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古代抒情詩『万葉集』と令制下の歌人たち

金井清一(著/文 他)

A5判  332頁 
定価 9,800円+税
ISBN 978-4-305-70863-2 C0092

書店発売予定日 2019年08月26日
登録日 2019年07月24日

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紹介

抒情詩というジャンル成立の普遍性に迫る。
時代も社会状況も異なれど、抒情詩は共通の世界史的基盤から発生していることを説き、日本において抒情の類型がすべて万葉歌人のなかにあることを明らかにする。
王権論も視野に入れ、時代や社会との関係のなかで歌を読み解く。

古代ギリシアにおいて、そしてまた古代中国において、抒情の表現を目的とする文学形式すなわち「抒情詩」という文学ジャンルは共通の世界史的基盤から発生している。……ギリシアにおける紀元前五、六世紀の状態は、中国においては紀元前三、四世紀の時代であったが、我が国においては七世紀後半にその時代が訪れたのである。時代も異なり、社会状況にも異なる点が少なからずあっても、文学史発展の普遍的様相は明確に存在する。そのことを文学研究に携る研究者の基礎的な教養として共有したいというのが、私のささやかな意志である。……「はじめに」より

目次

はじめに—所収論文紹介—

序章 古代叙情詩論
 一 古代叙情詩の誕生—その歴史的基盤の普遍性—
  序
  一 古代叙情詩としての考察対象
  二 ギリシアの古代叙情詩
  三 中国の古代叙情詩
  四 叙情詩発生の基盤
  五 日本古代叙情詩の発生

 二 人麻呂・憶良・赤人・家持—叙情詩の類型—
第一章 王権と万葉歌—平城遷都以前—
 一 舒明・雄略御製「夕されば・・・・・・」錯雑考
  序
  一 血統上の相似性
  二 ヲグラという土地への近縁性
 
 二 天武天皇の王権と吉野御製
  一 天武朝の二つの性格
  二 天武天皇の王朝始祖的性格
  三 天武朝の性格変更への隘路
  四 二つの吉野御製歌の内奥

 三 壬申の「乱」と万葉集
  一 「乱」という呼称の問題
  二 正史における壬申の「乱」の表記
  三 正史以外の書における壬申の乱
  四 壬申の乱の正当化
  五 中国の天命思想
  六 天武天皇の天命思想

 四 天武天皇と五百重娘
  一 天武と五百重娘との年齢差
  二 両歌への従来の評価
  三 大原の古りにし郷
  四 天武の心情と配慮
  五 五百重娘の心情

 五 藤原不比等と万葉集
  一 律令制と叙情の文学
  二 不比等と藤原の地の由縁
  三 不比等復権の経緯
  四 不比等と公的長歌

 六 藤原宮と万葉集の鴨君足人の歌
  一 鴨君という氏族
  二 作歌時期はいつか
  三 鴨君と藤原の地
  四 藤原の地と藤原氏

 七 平城遷都と万葉集歌—七一〇年代の政治と文学—
  一 はじめに
  二 元明天皇と藤原不比等とのズレ
  三 議政官人事の思惑
  四 元正天皇時代の唐風化
  五 七一〇年代の宮廷和歌
  六 古事記と日本書紀の成立

第二章 万葉歌人各論
 一 柿本人麻呂 その一—その「天」の諸用例、「天離」など—
  一 はじめに
  二 「天地」と「天雲」の用例
  三 「天」の単独用例
  四 「天下」の用例
  五 「天の河原」「天照らす」「天雲」「天の原」「天つ水」
  六 「天都御門」「天領巾」「天離」
  七 「天」をソラと訓む歌
  八 結び

 二 柿本人麻呂 その二—枕詞「天尓満」考—
  一 枕詞「そらみつ」の五音化
  二 「そらにみつ」の問題点
  三 「天」なる大和
  四 「天尓満」の文字文学性

 三 柿本人麻呂歌集非略体歌の作歌年代について
  一 人麻呂の表記進展過程と非略体歌
  二 大宝元年の非略体歌の問題点
  三 二−一四六歌の題詞問題
  四 人麻呂歌集歌表記への他者の介入
  五 四六〜四九歌の表記
  六 一四六歌題詞下小字注と巻九紀伊行幸歌群題詞の関係
  七 紀伊行幸歌群の人麻呂歌集性と非人麻呂歌集性
  八 非略体歌の表記進展
  九 人麻呂の紀伊国作歌の同時性

 四 山部赤人の心と表現
  一 赤人の現実渾融
  二 赤人の現実対応の二律背反
  三 挫折から調和へ
  四 現実への調和志向
  五 羈旅歌の穏やかな嘆き
  六 故京への甘美な感傷
  七 赤人の自然

 五 高橋虫麻呂論
  一 作品の範囲
  二 家系と閲歴
  三 巻九の虫麻呂作品の配列
  四 作品の性格
  五 虫麻呂の精神

 六 高橋虫麻呂「由奈由奈波」考
  一 従来訓の紹介
  二 通説g「のちのちは」の欠点
  三 「時」の意のヨリの用例
  四 ヨリヨリとトキドキ
  五 「時々」の訓例ヨリヨリ
  六 ユからヨリへ

 七 高橋虫麻呂、筑波山カガヒの歌—附、「目串」語義一案—
  一 問題の所在
  二 官能的表現に対する諸氏の評言
  三 私見、演劇歌謡から文学作品へ
  四 附説「目串」の語義

 八 大伴家持の「映発」
  一 家持作歌の評言「映発」
  二 「映発」の例歌
  三 家持の資質としての「映発」
  四 「映発」の本義と家持の現実
  五 家持と現実との関係
  六 「映発」の変化
  七 改めての「映発」と家持の歌

 九 大伴家持、史生尾張少咋を教へ喩す歌
  一 問題の提示—虚構説の紹介
  二 律令条文前置の理由
  三 作中の敬語の問題
  四 揶揄的と見なされる表現の問題
  五 長歌末尾の注の問題
  六 五月十七日歌の問題
  七 おわりに

収録論文初出一覧

索引(事項・書名/人名・作者名・研究者名)


著者略歴:
金井清一(かない せいいち)
1931年、埼玉県に生まれる。1957年、東京大学文学部国文学科卒。1965年、東京大学大学院博士課程満期退学。現在、京都産業大学名誉教授。
主な著書 鑑賞日本の古典1『古事記・風土記・日本霊異記』(尚学図書・曽倉岑氏と共著 1981年)、『万葉詩史の論』(笠間書院 1984年)、日本の文学 古典編『古事記』(ほるぷ出版、1987年)、『万葉集全注巻第九』(有斐閣 2003年)など。

著者プロフィール

金井清一(カナイセイイチ)
1931年、埼玉県に生まれる。1957年、東京大学文学部国文学科卒。1965年、東京大学大学院博士課程満期退学。現在、京都産業大学名誉教授。
主な著書 鑑賞日本の古典1『古事記・風土記・日本霊異記』(尚学図書・曽倉岑氏と共著 1981年)、『万葉詩史の論』(笠間書院 1984年)、日本の文学 古典編『古事記』(ほるぷ出版、1987年)、『万葉集全注巻第九』(有斐閣 2003年)など。

上記内容は本書刊行時のものです。

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